川瀬和也 研究ブログ

宮崎公立大学で教員をしています。専門は、(1)ヘーゲル、(2)行為の哲学(3)プラグマティズム。英語圏のいわゆる分析系のヘーゲル研究の成果を取り入れながら、ヘーゲルの議論の再構成を目指しています。主要著作:論文「ヘーゲル『大論理学』における絶対的理念と哲学の方法」で日本哲学会若手研究者奨励賞受賞。共著に『ヘーゲルと現代思想』(晃洋書房・2017年)ほか。お仕事のご依頼・ご質問はフォームへ→https://goo.gl/forms/klZ92omOgEvsjcCi1

徳島大学を(5ヶ月前に)退職しました

既に5ヶ月が経過してしまいましたが、昨年度いっぱいで、約1年半にわたってお世話になった徳島大学を退職し、4月から宮崎公立大学助教として赴任いたしました。
 
わざわざ「退職しました」というタイトルにしたのは、よくIT系の方が書いている「退職エントリ」のパロディという意味合いもありますが、宮崎公立大学に内定を頂いてから職場に退職の報告をするまでのことを、ある程度記録に残しておきたいと考えたためです。というのも、webでも、また他の大学や学部に関する噂でも、退職時の対応を誤ると嫌な思いをするという話をたくさん目に・耳にしており、実際に退職報告のさいに必要以上に胃を痛めることになったからです。
 
はじめに書いておくと、実際には、元の職場である徳島大学・総合教育センターの先生方、また職員の皆さまには、大変暖かいご対応を頂きました。おそらくそのような「円満退職」の事例も世の中にはたくさんあるのだと思いますが、残念ながら、それをわざわざ書き残される方は少ないようです。そのために職場を移る際に私のように過剰に不安になってしまう方も多いのではないかと思い、今回ここに経緯を公開したいと考えました。
 
基本的なこととして、研究者の転職活動は、職場には伝えずに行うのが普通です。これは他の職種の転職活動と同じではないかと思います。日常業務の傍ら、公募をチェックし、書類を書いて応募、また、有給等を使って面接等に出向く、ということになります。ただし、特にエージェント等は介さない孤独な作業になるという違いはあります。なお、私の場合、徳島大学での職は任期3年更新なしという契約でしたので、学内外いずれかでなんとか次の職を見つける必要があったということも書き添えておきます。近年、このような任期付きのポストが増えており、転職活動をせざるを得ない若手の大学教員の数は非常に多くなってきています。
 
さて、内定を頂いてからのことですが、既に書いたとおり、webには不安を煽るような情報があふれていました。曰く、職場に伝えると嫌がらせを受けるのでぎりぎりまで伝えないほうが良い、とか、最悪の場合内定取り消しのために働きかけられることがある、とか。もちろん、これらの事例は、あまりに極端で、自分の職場では考えられないようにも思われました。また、ギリギリに伝えたのでは、自分は良くても、職場に大きな迷惑がかかってしまい、いらぬ恨みを買ってしまうことにもなります。しかし、一度そういった悪い情報を目にしてしまうと、根が心配性な私はどうしても不安になってしまいます。いろいろと悩んだ結果、恐ろしい体験談のことは一旦忘れるとして、一般的な職場と同様の手続きを踏むことにしました。とにかく誰にも話さずに転職活動をしていますから、情報源はネットにしかありません。私の場合、リクナビNEXTの以下の記事(の旧バージョン)を参考にしました。
 
 
大学教員は通常の会社組織とは微妙に異なる組織になっていますが、まず、直属の上司にあたる教員に伝え、了承を得た上で、そこから段階を追って所属長まで事情をお話しし、そのあとで同僚と事務職員の皆さんにお伝えするようにました。
 
結果的には、初めに書いたとおり、みなさん任期付きである私の事情も汲んでくださり、大変あたたかくご対応くださいました。また、私の将来を応援してくださいました。徳島大学総合教育センターの皆さんには、そのことを今でも深く感謝しています。
 
以上が、私の転職のさいの経緯です。念のため注意していただきたいのは、あくまでも、一つの事例としてお読みいただきたいということです。私の方法が最良だったのかどうかはわかりません。特に伝える順番については私自身一番悩みました。同僚の先生方に先に伝えるという考え方もあると思います。しかし、いずれにせよ、身にしみて感じたのは、こういった情報があまりにも手に入りにくいということです。このブログが、少しでも、後に続く方々の参考になればと思っています。また、「ぎりぎりまで職場には伝えない方がよい」という噂を鵜呑みにし過ぎないよう、もちろん場合によってはそれがよいということもあるのでしょうが、いろいろな場合があるのだということを知って頂けると大変うれしいです。
 
最後になりましたが、現在は、宮崎公立大学人文学部で、哲学を担当し、学生の指導にあたっています。授業にあたっては、ジグソー法など、FDセンターで身についたアクティブ・ラーニングの手法を活用し、ある程度の手応えも感じています。また、研究面でも、昨年度は論文を書けなかったのですが、本年度はすでに商業誌(『情況』6・7月号)に寄稿するなど、少しずつ成果の発信にも着手しています。
 
このブログについては、既にかなり放置気味ではありますが、本業に支障のない範囲で、気が向いた時に更新していけたらと思っています。上記の教育や研究のことについても、そのうちご報告できればと思います。