「web上で読める哲学系ブックリスト」のリスト
web上で読めるブックリストは、独学する際の重要な指針となってくれます。しかし、様々な媒体でバラバラに公開されているため、存在に気づくことがなかなか難しいという難点があります。そこで、ここでは、自分用の備忘録も兼ねて、web上で見つけた哲学系のブックリストを、簡単に分類した上でリスト化することにします。(記事中、敬称は「さん」に統一します。)
最初に読みたい
「哲学を学ぶなら岩波文庫を全部読め」を信じてはいけない理由
https://mitorizu.jp/column/column-interview/philosophy-as-learnable
長門裕介さんのインタビュー。「岩波文庫を全部読め」のような読書指導がなぜよくないのか、古典と入門書の関係をどう考えれば良いかなど、最初に読んでおくと心構えができる。哲学入門者のためのブックリストもある。
分析哲学
分析系の理論哲学関連で、ある程度広めの分野を紹介したブックリスト。
1.分析哲学全般
勁草書房さんが(気まぐれに?)掲載しているブックガイドの一つ。柏端達也さんによる分析哲学の哲学者マッピングとブックガイド。2008年公開なので多少情報が古いことには注意。
2.心の哲学
同じく勁草書房webサイトで公開されているマップとブックガイド。こちらは金杉武司さんによるもので、2010年公開。
3.科学哲学
こちらは伊勢田哲治さんによる科学哲学のブックガイド。分類方法や各書籍へのコメントなど、これを読むだけでも勉強になる。
倫理学・美学
倫理学・政治哲学・美学関連のブックリスト。
4.倫理学入門
江口聡さんによる、倫理学入門のためのブックリスト。入門書に限定し、読む順番までおすすめしてくれるとても親切なリスト。
5.政治哲学
勁草書房さんのリスト。これは署名がなく、「勁草書房営業部」となっている。様々な書籍を参照して作られており、多少雑然とした印象はあるが、信頼できる。2010年版。
6.分析美学・入門編
7.分析美学・中級編
morinorihide.hatenablog.com
上記二つは、森功次さんによるリスト。初公開はそれぞれ2012年と2018年で、入門リストの方は随時更新されている。分析美学についてはまずはここから入っていくことになるだろう。
8.分析美学・中級編②
ナンバユウキさんによるリスト「分析美学の道具箱」。「分析美学の入門を終えて、もう少し分析美学を勉強しよう」という方を対象に、教科書や事典、webサイトなどまでまとめられている。
分析哲学系各論
以下は、比較的細かいトピックに分かれたリスト。関心のあるものがあれば要チェック。
9.自由論・時間論
GACCOHさんの「やっぱり知りたい! 分析美学」の告知ページに掲載されたリスト(ページ最下部)。自由論は高崎将平さん、時間論は大畑浩志さんによる。それぞれ簡単なコメントもあり参考になる。2018年作成。
10.信頼
小山虎編著『信頼を考える』発売に合わせて作られたブックリスト。分析哲学でも注目を集めつつある「信頼」をキーコンセプトに、様々な分野にまたがった書籍が集められた学際的なリストとなっている。2018年作成。
11.概念工学
GACCOHさん主催「概念工学入門ツアー」の際に公開された、松井隆明さん作成のブックガイド。少し見つけにくいかも知れないが、ページ下部にブックガイドがあり、クリックで展開できる。それぞれコメントもついていて便利。2019年作成。
12.動物倫理
noteで「あにまるえしっくす」さんにより公開されているリスト。「中の人」が専門家かどうかは不明だが、挙げられている本は十分信頼できるのでここにも採用することにした。2019年作成。
哲学史関連
ここからは哲学史関連のブックリスト。「哲学」というとこちらを思い浮かべる人の方が多いかも知れない。
13.ギリシャ哲学
GACCOHさんの「やっぱり知りたい! アリストテレス」に合わせて作られた、酒井健太朗さんによるリスト。ギリシャ哲学全般に関するものから、現代のアリストテレス主義に関するものまで挙げられていて、見ていて楽しい。2019年作成。
14.ヘーゲル
手前味噌ですが、私がGACCOHさんの「ヘーゲル(再)入門ツアー」に合わせて作成したリスト。初心者向けのヘーゲル入門から、プラグマティズムなど現代哲学との接続まで、専門家以外の方が見ても楽しいリストを目指しました。
15.現象学
植村玄輝・八重樫徹・吉川孝編著、富山豊・森功次著『ワードマップ 現代形而上学』の発売に合わせて作成されたリスト。フッサールやハイデガーなど狭義の現象学に関わるものだけでなく、分析哲学系の書籍まで、現象学との関連を明らかにしながら紹介されている。
16.レヴィナス
石井雅巳さんによる、レヴィナス関連のブックリスト。入門書から、原典、研究書まで、バランス良くかつ詳しく紹介されている。2016年作成。
以上、16のリストを紹介してきました。おそらく見落としもたくさんあると思いますが、さしあたりそれなりに使えるものになっているのではないでしょうか。各リストはボリュームも対象者のレベルの様々なので、自分に合ったものを探してみましょう。
【告知】
12月22日(日)、東京・池袋で、「ヘーゲル(再)入門ツアー 2019→2020」と題して、春の「ヘーゲル(再)入門ツアー」の際に東京で実施できなかった『精神現象学』に関する内容を中心としたレクチャーを行います! 春には満席になってしまった講座でもあります。多くの方が気にはなるけれど手を出しにくいと思っているヘーゲル。この機会に初めて触れてみたいかたはもちろん、過去にヘーゲルに挫折した方の再入門にもおすすめです。